飛躍した二次創作「東方Project」の歴史と、その成功について
- 2021年12月06日 17時07分
- 東方Project
同人活動や同人趣味を持っていれば、誰しもが自然と耳にするのが「東方Project」です。
同人業界において多くのファンを持ち、また年に二回のコミックマーケットこと「コミケ」においても、東方Projectの専用ブースがある程に、東方シリーズは、同人界隈では有名なジャンルでもあります
さて、この「東方Project」とは、一体何なのかと気になる方や、また詳しく知りたい方など、そしてこれから知ろうとする方もおられると思いますので、今回は「東方Project」の歴史と、その生い立ちについて説明をしていきたいと思います。
もともと「東方Project」とは、コミケで登場した事が始まりでした。
東方シリーズを最初に見た人は、漫画作品やライトノベルシリーズと思われる方が多いと思いますが、東方シリーズは、元は一人の創作活動により派生したジャンルなのです。
その生みの親は、「ZUN」と呼ばれる人物です。
彼が主宰する同人サークルの「上海アリス幻樂団」によって、東方シリーズは製作され、同人業界において「弾幕系シューティングゲーム」として人気を誇り、その独特な世界観や幻想的な表現に、その独特の世界を彩る音楽など、その追従を許さない、独特な個性のある作風で、彼の作品は同人業界において圧倒的な支持を得たのです。
その指示は爆発的に広がり、現在では漫画やライトノベルなどを始めとする書籍に、本氏の音楽に触発された創作音楽や、同人ゲームに、同人アニメーションなどの様々なコンテンツで紹介されるようになりました。
ここまで多くの支持を受ける事となり、社会現象にもなった今作ですが、元は一つの趣味から始まり広がった創作物だったのです。
この作品の原点でもある創作者である「ZUN」さんは、自身の作曲したコンピュータ楽曲を発表する場として、今作の「東方Project」の同人ゲームを制作したのです。
高校時代に創作していた独自の世界観を形作る為に、同人ゲームである東方を制作した本氏ですが、その制作の課程は平坦なものではありませんでした。
最初本氏は東方を格闘ゲームとして製作しようとしていましたが、当時は1996年。
個人でゲームを造れるようになり始めた頃ではありますが、やはりゲーム制作は容易なモノでは無く、格闘ゲームにシューティングゲームの個人制作は実に困難なものでもあったのです。
でも「ZUN」さんは、誰に頼る事も無く、一人で制作を進めていきます。
格闘ゲームやシューティングの製作が難しいならば、比較的に制作しやすいジャンルだったパズルゲームから始まりました。
そう、今では弾幕ゲームとして名高い東方シリーズも、最初はパズルゲームだったのです。
記念すべき東方シリーズの第一作「東方靈異伝」は、和風テイストがふんだんに盛り込まれ、レトロシックなジャンルでもあったパズルゲームに新感覚を取り入れ、個人製作の趣味枠を超えた、実に完成度の高いゲームとして発表されました。
そんな東方project第1弾となる作品は、東京電機大学理工学部の文化祭・第20回「鳩山祭」で展示発表されたのが、東方シリーズの出発でもあり、原点でした。
よくコミックマーケット52での発表された「東方魔録縦」が、「ZUN」さんの処女作と思われがちですが、コミックマーケット以前の学園祭で発表された「東方靈異伝」が「東方project」の第一作だったのです。
後の弾幕系シューティングゲームの代表作とも言われる、東方の記念すべき第一作である「東方靈異伝」はパズルゲームであり、固定画面のブロック崩していくだけと、実に単調なものでした。
また当初の作品では、選択可能な自機が後のメインヒロインとなる「博麗靈夢」のみと、少し寂しい内容でした。
ですがそんな寂しさも吹き飛ぶほどに、ゲーム自体の内容は、とても個人で作り込んだとは思えられない内容にまとまっていました。
一般販売されていたパズルゲームと大して差異がない、十分に作り込められた内容だったのです。
ヒロインの靈夢を操作し、お札やお払いに、とっておきの陰陽玉を使い分け、パネルをめくり、パネルを全部めくれば一面クリアとなる内容は確かに単調であるも、そのゲームの内容は実に難しく仕上がり、それに加え、各面には制限時間が添えられていました。
時間が0になればゲームオーバーと単純さもなく、時間が無くなれば無制限に弾が上から降ってくると、実に鬼要素のあるゲームだったのです。
単調でただ流れるだけのパズルゲームとは違い、それなりのハードさも含まれ、決して安直作業で終わる内容ではなく、やり込み要素のある作品でした。
全20面ステージ。
各5面、10面、15面、20面などのボスが存在し、また5面のボスである「シンギョク」を倒せば、魔界ルートと地獄ルートの選択肢が登場し、「魔界ルート」と「地獄ルート」に分岐していきます。
両方ともあわせて全20ステージで構成され、実にやり込みがいがあり、すぐに遊びつくせるような単調なゲームではなく、徹底としてゲームを楽しめる作り込みは、個人製作のゲームとは思えない様な内容です。
ルートとコンティニューの有無でエンディングが変わり、バッドエンドなどの演出も備わり、エンディングが4種類存在しているマルチエンディング方式と、充実した作り込みのゲームでした。
また物語もパズルゲームとは思えない程に、実に深いストーリー構成が成されています。
大幅なあらすじはこの様になっています──
舞台となる場所は、東の国のとある小さな神社こと博麗神社から始まります。
奇々怪々な事象が様々に発生し、人ならざるモノが潜む神社として人々に恐れられていた神社。
それもその筈、この神社には地獄や魔界に通じる入口が存在していたからだった。
でもその異形の存在は神社から人里へと降りる事は無く、人々が平凡に暮らせていたのは、その神社と入口を守護する、神通を宿した巫女がいたからでした。
異形の世界の入口が開き、妖怪や悪魔などがこの世界に現れて始めた為に、力のある者達によって封印され、世の平穏を保たれていました。
そんな重要な役目がある神社でしたが、ある日、何者かによって破壊されてしまいました。
従来変な事件に巻き込まれる体質を持っていたが為に、色々な事件に巻き込まれてしまう博麗靈夢は、自分の住処を破壊した何者を追いかけ、異界へと繋がる入口へと入ってしまいます。
博麗神社最大の秘宝である「陰陽玉」を持ち、人ならざるモノが跋扈する世界に挑む彼女。
はたして、彼女の運命は如何に──
と、個人製作の同人作品においてはストーリー構成もしっかりと成されており、その作り込まれた世界観は、後の東方シリーズの原点となりました。
それは後の多くの派生作品を生み出していく、作品の始まりともなったのです。
全ては個人から始まり、個人の作曲した音楽を聴いてほしいとの願いで制作され、プログラムの練習として作り出された、ブロック崩しが始まりとなり、一人で作りやすそうだったと、それがきっかけで1995年に制作が始まりました。
翌年の1996年に学園祭にて発表され、それが口コミで広がり、東方の歴史は始まっていったのです。
後に大きく起動していく東方シリーズは、コミケなどを通して爆発的な人気を得ていく事となり、「ZUN」さんは同人サークルである「上海アリス幻樂団」を設立していきます。
名の由来となる「上海アリス幻樂団」の最初にくる「上海アリス」とは、東洋と西洋の幻想をイメージしたのが由来でした。
上海と、かつて東洋と西洋の文化が融合していた都市の文化をイメージしたのを言葉として描き、その次に来る「幻樂団」も、音楽を制作するサークルのイメージを持たせるために明記したと言われています。
幻想的な世界観を持ち、その世界を艶やかに彩る神話性のある音楽などを奏でる表現に趣きを置き、東方シリーズは動き出していきました。
動き出していった事で最初は何気なくに描かれていた、東方の世界観は、物語やシリーズが成されていく中で、より深くに作り込まれていきます。
どこで何であるかは解ら無かった世界観は、人ならざるモノによって張られた結界により、現実世界と隔絶隔離された土地である「幻想郷」が舞台として形作られ、そんな幻想郷で異変を起こし、それを主人公の少女である博麗霊夢と、その親友である霧雨魔理沙が解決していくと、東方の後の物語や、その物語を形作る個性的な登場人物達の多くは、こうして創られていきました。
次第に大きく世界観を広げ、登場人物や設定が増え、また二次創作での幅広さ故に、創作活動として派生作品が登場していく事となります。
同人活動では、その著作を自由に誰でも発表する場が与えられ、最初はただのパズルゲームだった世界が、シューティングと変わり、そしてその世界観を楽しみたい二次創作などの派生により、ついには商業の作品として扱われるようにもなりました。
「東方香霖堂 〜 Curiosities of Lotus Asia」など、ZUNさんによる小説作品が発表され、挿絵は唖采弦二さんが担当し、東方シリーズで御馴染の森近霖之助を主人公に、東方世界を物語るライトノベルもあれば、角川書店から発行されている「月刊コンプエース」においては、「東方三月精」の漫画が連載し、三シリーズとして発表されました。
また「東方儚月抄シリーズ」など、多くの漫画作品やライトノベル作品としても、その発表の場は広がり続けています。
この様に「東方Project」は多くに人気と支持を持つコンテンツとされた背景には、同人活動である二次創作が大きく要因として挙げられます。
創作されるジャンルは同人誌をはじめ、別サークルが造る同人ゲームに、作中の音楽を編曲した、同人音楽などもあり、また映像作品としての同人アニメや同人CG集など、クオリティの高い作品などが発表されました。
そしてはてはトレーディングカードとガレージキットまでと、同人ゲームだった筈が東方が大きな飛躍を見せ、数多くの二次創作が成されていきました。
同人シューティングゲームであった筈の今作が、キャラクターや世界観などファンに支持されていった事で、その派生が様々な形で制作されていき、「東方Project」の人気は、強く支えられていったのです。
物語が無数に生まれ、またキャラクター達の個性が受け入れられ、人気を博していく東方シリーズ。
今後も多くの作品が生まれ、別の形の表現を生み出してくれる事でしょう。
- 2021年12月06日 17時07分
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